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三角館の恐怖-創元推理文庫

舞  台-東京都中央区 築地 運河沿いの西洋館 1月下旬~雪模様
探  偵-篠警部・森川弁護士(ホームズ・ワトソン)
原  作-『エンジェル家の殺人』ロジャー・スカーレット 1932年

執筆終了-昭和26年 53年前
江戸川乱歩-57歳

乱歩が気に入った原作を"翻案"した作品。原作があるものなので、乱歩らしさはあまり感じられないが、2つ気に入っている所がある。

<財産についての考え方>
莫大な財産を築いた男が、養子の双子に「長生きした方に財産を譲る」という遺言を残した為、長生き競争が高じて完全に仲たがいし、両家の間で殺人が起こるという話しだ。
いかにも推理小説に出てきそうな「風変わりな遺言」で、遺言を説明する章のタイトルも「奇人の遺志」となっている。

しかし、この遺言について 健康な双子の弟が次のように述べている。
「財産というものには、実に重い責任がつきまとっているのだよ。先祖が汗水たらして作り上げ、わたしたちに残してくれた財産だ。一銭だっておろそかにはできない。ちゃんとそれを保管し、利殖して行くのが、子孫たるものの義務だ。(中略)おやじの真意は、長生き競争にかこつけて、わたしたちの生涯、財産を自由にさせないで、そのまま残しておくという点にあったのじゃないかと思う。そこにおやじの深謀遠慮があったのじゃないかと思うのだよ。」(54頁)

背景・動機好きの私のツボである。
なんて、しっかりしたお考えなのだっ
推理小説の始まりで"つかみはオッケー"にするために、何でもかんでもヘンな遺言作れば好いってもんじゃない。
このくらいのへ理屈は述べてほしいものだ。

<犯人の動機>
さんざ、金だ金だと騒いでおきながら、「へぇぇぇ」という動機。
舞台もトリックも目を引くものではないが、この作品の特色は犯人の動機がユニークなことだと思う。

昭和26年の1月から12月まで雑誌で連載され、9・10月号で犯人当てクイズが行われたらしい。
犯人の名前と動機を当てるというもの。
文庫の終わりに当選者発表の記事が掲載されていて、当選者3名の内1名の方の「動機」が模範解答として載せられているのだが、実に簡潔明快。
中田哲雄さん、感服致しました。

 ☆☆☆
江戸川乱歩 1894年10月21日生まれ

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