ハムレット復讐せよ-国書刊行会
Hamlet,Revenge!
舞 台-イギリス ホートン地方 6月
探 偵-ジョン・アプルビイ警部
発 表-1937年 69年前
著 者-マイクル・イネス 31歳

着衣は無かったかと・・・^^;
<あらすじ>
ホートン公爵の邸宅・スカムナムコートで、公爵夫人の発案で 各界の名士を集めて素人芝居「ハムレット」を上演することになる。
上演前から謎の脅迫状が届いていたが、劇の最中に大法官オルダン卿が銃殺される。オルダン卿は国家機密書類を所持していたためスパイの仕業かと思われたが、書類は紛失していなかった。
続いて、犯行を目撃したと思われるインド人が殺害されて・・・
☆☆☆
おそらく乱歩の推薦文を読んだためかと思うが、この本を買ったことをすっかり忘れていた。そのため?予断も期待もなく読むことが出来た。
とにかく、登場人物が多い!
主な登場人物36人、うち容疑者31人!!
推理小説の巻頭にある「主な登場人物」は、"ページの下半分"位ってのが多いが、この本は2ページ丸々使ってるんだよ(泣)
日曜日に一気に読んだのでまだよかったが、時間をおいたら忘れそう。通勤途中で読んでたりしたら、何度も「主な…」ページを見なくてはならなくなるだろうな。
できるなら、一気に読むことをおススメする。
ただし、個々の人物の特徴がハッキリしているので、31人という数のワリにはキャラクターは忘れない(名前は忘れるけど)。
容疑者が多いだけでなく、犯行動機も
①機密文書を狙うスパイ説 と
②オルダン卿個人への恨み説
があり、読者を振り回してくれます。
②の方では、作者マイクル・イネスの英文学者として知識が存分に披露され、犯行が起こった劇『ハムレット』の主題『復讐の遅延』-なんてのが、これまた推理小説ファンの心をくすぐるというか。
伏線もうま~く引かれていて、最後の方でパタパタと気持ち良く思い出させてくれるなど、とてもきっちり計画された推理小説だと感心。
特に、最後 挟み撃ちに会った令嬢の うまい隠れ方といったら!
犯人も、また犯人を暴く人も 意外でとても楽しめる作品だった。
ロジャーシェリンガムを読んだ後だったので、物語の最初から登場している探偵作家ジャイルズ・ゴット氏(34)が本書の探偵なのかとずっと思っていたのだが、巻末の解説を読んでアプルビイ警部が探偵(謎解きの主役)だったのだと…。σ( ̄∇ ̄;)
亡くなった方に続いてお気の毒なのが、このゴット先生。
劇が終わったら令嬢にプロポーズするつもりだったのに殺人事件が起こるは、ワインの味もわからない県警本部長に 無理やりポワロ役(全員の前で推理を披露)を押し付けられるは・・・かなり損な役回り。
伯爵夫人のご意向で、館内にエリザベス朝時代の舞台を作らせる。
この 幕が無く 奥が2階になっている舞台が犯行現場になるのだが、
復元されたグローブ座↓のような感じなのだろうか。
舞台の写真-Theatre Tours
舞台360度-Virtual Tour
グローブ座公式サイト
伯爵夫人の気まぐれから、国家的大事になるんだけどね…
令嬢エリザベスのぼやき(オフィーリア役やらされ)
「~娘の21歳の誕生祝に、白のサテンのドレスを着せて、二枚目役者に卑猥なことをいわせたあげく、溺死させて、埋葬までして、それが知的お大尽遊びだなんて、時代錯誤のお嬢様でなければいったい誰が考えつくのかしら」P-31より
インド人の死体を、目撃される危険を冒してまで移動した理由がよく判らなかった以外、とても満足した作品だった。
<ネタばれがあります>
容疑者の多さ・動機に翻弄されて犯人像を絞り込めないように思うが、何が一番の原因かと考えると
ドジで臆病な犯人と
頭が良くてやりすぎる犯人
のチームだったために、犯人像が1つにならないからじゃないかと。
だから、全体を(一つの意思で)説明しようとしたゴット先生や警部は迷走し、ある出来事のみを追及したダイアナとパイパーが犯人を見つけられたんじゃないかと思う。
特に、姿を見られる危険を冒してまでもオルダン卿に近づいて撃たなければならなかった犯人の心理を看破したダイアナはお見事!!すっごい納得。
☆☆☆
マイケル・イネス(Michael Innes) 1906年9月30日スコットランド生まれ
アプルビイ警部シリーズ等40冊以上のミステリ作品発表。
本名ジョン・イネス・マッキントッシュ・スチュアート 英文学者
英文学者としての著作「シェイクスピアにおける性格と動機」が有名
☆マイケルじゃなくて"マイクル"なのは、早川書房が最初にマイクルと表記したのがそのまま踏襲されているらしい。ふ~ん
国書刊行会 世界探偵小説全集16(2004年4月15日初版第2刷)
訳:滝口達也